カラマツ属(枝葉と球果) Larix

 カラマツは1−2cmの葉が20-30枚短枝に束生する。このごく短い短枝が毎年増えるので、短枝は輪が重なったようになり、カラマツ属の特徴となっている。伸長する枝(長枝)の葉は輪状に束生せず一枚ずつつく。葉は線状で扁平、秋には黄葉し落葉するため「落葉松」と書かれる。

 カラマツの球果は長楕円形で種鱗の数が多く、サハリン以北に生育するグイマツは小さな球形ないし偏球形で種鱗が少ない。ザオウカラマツは外形も種鱗数もちょうど中間タイプである。カラマツ属の球果は枝に上向きにつき、種子の完熟したあと、冬期を過ぎても種麟がばらばらに落ちることはない。激しい風に揺られることによってのみ種子を散布することができる、風散布植物である。

約12年生長した短枝
中央より左側が長枝の葉、右側2つが短枝の葉

カラマツの球果

ザオウカラマツの球果

グイマツの球果

 東北地方の最終氷期最盛期(MIS2)の堆積物からはしばしばカラマツ属の球果が産出し、グイマツとカラマツの雑種が遺存した可能性(矢野,1994)、あるいは最終氷期最盛期における地方的な変異の中の東北地方集団の遺存の可能性(鈴木ほか,1995)が指摘されている。

参考文献
鈴木三男・吉川純子.1995.9・11層および13層堆積時の森林植生の復元.「富沢・泉崎浦・山口遺跡(8)富沢遺跡第88次・89次発掘  調査報告書」,68-71.仙台市教育委員会.
矢野牧夫.1994.日本列島北限「カラマツ」球果の変異とその古植物学的意味.第四紀研究,33:95-105.

長枝の葉

短枝の葉